同情は弱者の生存戦略
優しい人。
優しい人はいいことだ
と思うかもしれない。
特に学生の時分は、周りにいる大人、親や教師がいい子でいることを求めるからその傾向は強い。
また、優しくすることで自分が困ったときに優しくして貰える。
そういう保険のような要素もある。
優しさとは、、一見まともに見えて、これがなかなかめんどくさいものである。
少なくとも私は、自分のことを優しい人だなんて言っている人がいれば警戒する。
詐欺師か、トンマか、はたまた世間知らずか。
貴族の子やボンボンの子など、親が一生面倒見てくれる人は問題ないかもしれない。
そんな奴は、親の死後困るだけであって、親が生きている間は可愛いペットとして過保護に育てられるだろう。
だが、大勢の人はそうではない。
成長するにつれ、親は弱いのだと気づく。
大体の人は、特に考えることなく生きている。
俺は考えているという人もいるかもしれない。
だが、「考える」という格好を取っているだけの奴も多い。
何かを勉強し、頭に入れるだけで終わる人のことだ。
それならまだ、何も頭に入れず、ゼロから自分で考えた人のほうがマシだ。
だから、世の中は考えない奴で溢れている。
そんな奴ばかりだから、周りもそうなる。
周りもそうなら、そんな奴らは、じゃあ大丈夫だと安堵する。
これが負の連鎖である。
貧困や弱い立場から抜け出せない原因、家系やら血とやらが重視される原因。
こうして考えない大人が大勢いて、そいつらが子を産む。
そして彼らが子に生き抜く知恵を与えたいと思ったとき、そう、頭に浮かぶのは、同情してもらうという武器だけ。
しかもそれは、自分たちの見栄か、はたまた可愛い我が子に非情な現実を伝えるのが辛いのか、同情を「武器」としては教えず、「優しさ」という仮面をつけて伝える。
「優しい人でありなさい。」
何も考えない大人はそう伝える。
子はそれを信じる。
真面目でいい子であるほど、それを信じる。
信じた先に何が待っているか。
そう、解決できない矛盾である。
世界は優しさで出来ていない。
世界は暴力で出来ている。
子が成長し、人類が利己のために今でも戦争している状況をみたら?
それは遠いことだと思うか?
では、各学校に必ずあるイジメという名の、裁かれない犯罪をみたらどう思うか?
まだそれは解決できるかもしれない。
では、もっと具体的にいこう。
ネグレクトの家庭に育った子をみれば?
インドの貧困層が寄付を貰うためにわざと子どもの身体を損傷させているのをみれば?
犬や猫が愛玩動物として国民の大多数から可愛いがられる一方、毎年何十万という犬や猫が殺処分されている現実は?
あなたたちが食べている卵のほとんどは、養鶏場でまともに身動きもできない環境に鶏を置いて産ませているものだと知ったら?
そしてその鶏たちが卵を産めなくなった時、無造作にトラックに詰め込まれ(雑すぎてこの時圧死する鶏も多い)、その後精肉になるという、人間が食欲を満たすためだけに生きる存在がいると知ったら?
しかも食べるためという名目だが、その多くが食べられもせず、廃棄されている現実は?
フォアグラの作り方を知っているか?
日本の活け造りは生きたまま食べる、人間が楽しむためなら倫理観はなくなる、そしてそれを伝統だからと辞めない現状は?
こうして多くの犠牲の上に立っている人間が、それでも満足せず、多くの精神病患者がいることは?
この事実の多くは世間は既知だが、それでも何も変わらない、見過ごす人が大半の現実は?
ここまで知って、それでもマジョリティは人間は素晴らしい!と思い込んでいることについては?
いかに人間が利己的か。
それは年を重ねれば重ねるほど身に染みることだろう。
年を重ねてまだ利己的であることを認めない奴がいるならば、そいつは「優しさ」に縋って生きてきた人間だ。
自分は優しく、だから生きる価値がある、そしてそんな自分は困ったら同情してもらう価値がある、だから大丈夫。そしてちんけな安心を得る。
弱者にとって同情は最強の盾と矛である。
そいつにはもうそれしかないから、それだけで立っているから、それをもう手放すことはできない。
同情しきれないこの現実を見ても。
真に同情的であり、優しくあるのなら、この現実を知れば身を投げ打ってでも解決に努めるはずだろう?
だがそんな人間はいない。
日々、己の欲求を満たすことのみ考えている。
いかに多くの事実が人間の利己的側面を語っても、その優しさは自分の利益になるときにしか発動しない。
だから、弱者ののたまう優しさなどは糞だ。
弱者の親のもとに産まれた子は、早くこの事実に気が付かなければ自分の人生を生きられなくなる。
優しさとは、言い換えれば、情に流されやすいこと。
情は、武器だ。
使いどころを間違えるな。
これは妄言ではない。歴史を通して変わらない普遍的な事実だ。
優しさ、、、、なんと都合のいいまやかしだろうか。
以上。強く生きろ。